パソコン好きなら一度は耳にしたことがある定番キーボード「Happy Hacking Keyboard(HHKB)」。HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列を筆者も4年ほど愛用している。
最近、人生初のMacを購入したので、そちらでも活用していきたいが、macOSとWindowsではショートカット等の一部キー操作が異なる。生粋のWindowsユーザーにとって、Macでの快適なキーボードライフ実現には設定が重要となるわけだ。
本記事では「HHKBをWindowsとMacで併用する」というテーマの下、「Windowsの操作感に寄せる」ためのキーマップや設定、Mac側に導入した各種ユーティリティについて記す。
なお、HHKBシリーズは、2023年10月に新コンセプトの「HHKB Studio」をリリース。この記事で扱うのは従来のHHKB Professionalとなる。
<検証環境>
Mac mini (2024) M4 Pro搭載モデル
macOS Sequoia 15.2
HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列
(連載している「WindowsユーザーによるはじめてのMac設定」キーボード編です。)
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キーマップの変更とWin-Mac間の切り替え方法
公式が配布している「キーマップ変更ツール」を使って、HHKB本体にキーマップを書き込む。
キーマップ例
背面裏蓋を開けると出現するDIPスイッチは、以下のように設定している。
基本はWindowsで使うことを想定し、SW1はOFF(Winモード)に。どちらに設定していても、ショートカット(Fn + Ctrl + M,Fn + Ctrl + W)で相互に切替可能。再起動するとスイッチのモードに戻る。
キーマップ変更ツール利用時は、スイッチの方向と現在の状態を同一にした状態で書き込む。「DIPスイッチとHHKBの設定モードが異なっている場合は利用できません」というアラートが出た場合は、スイッチを反転させて再起動すれば良い。
Windows用設定
Windows用キーマップの一例。
Backspaceキーは、装飾キーなしで使いたいので、Delの隣に配置。英数/かな切替は左手小指で押したいので、Capsと入れ替える。
BackspaceにしてしまったキーをFn押下で刻印通り入力できるようにした。
Mac用設定
Macでも極力Windowsと同じ操作感にしていく。
主に左下3つのキー変更が重要。WindowsでいうところのCtrlはMacのCmdに当たるので、一番左下に配置。Ctrlの位置は迷ったが、空いているWinキーのところにした。
Fn押下時はカスタマイズ少なめ。
Win-Mac間の切り替え
Windows←→Mac間で接続先を切り替える時は、2セットのショートカットで①接続先と②モードを変更する必要がある。
①接続先の切り替えFn + Ctrl + 数字
②Fn + Ctrl + MでMacモードに、Fn + Ctrl + WでWinモードに切替
同時ではなく、ほんの少しずらしながら順番に押していくのがコツ。
筆者の場合は、有線/無線にそれぞれデバイスをセットしている。
0 … WindowsデスクトップPC(有線)
1 … WindowsデスクトップPC(Bluetooth)
2 … Surface Pro 9
3 … Mac mini 2024
キーマップを変更した場合、刻印と異なるキーを押すことになる。先ほど設定したキーマップになぞらえると、以下の手順に。
Win→Mac切り替え
①右下Fn + 右下Alt(Ctrl扱) + 3
②右下Fn + 右下Alt(Ctrl扱) + M
Mac→Win切り替え
①右下Fn + 右下Alt(Ctrl扱) + 0,1,2
②右下Fn + 右下Alt(Ctrl扱) + W
最初は少し混乱するが、あくまで書き込んだ値を正と扱う、と覚えれば良い。
「キーボード設定アシスタント」での設定はDIPスイッチ状態に注意
macOSのシステム設定 > キーボード > キーボードの種類を変更…より、キーボード設定アシスタントにて種類を検出する。その際、必ずDIPスイッチ1をON(Macモード)に変えてからでないと、正常に反映されないので注意。
指示に従うとJIS配列が選択されるはずだ。(当然ながらUSキーボードの人はANSIが推奨。)
macOSのキーボード設定
ここからは、色々と設定を弄って使いやすくしていく。
▼「キーボードショートカット」の設定
Mission Control、Windowsでいうところの「仮想デスクトップ」に関する設定はここ行う。
Windowsでは、Win + Tabで仮想デスクトップを発動させていた。物理的に同じキーの位置でMission Controlを使いたいので、Ctrl + Tabを割当。
デスクトップ間の移動も非常によく使うので、Fn + Win + 左右矢印に合わせて、Cmd + Ctrl + 左右矢印に変更(キーマップが前述のとおりに変更されている前提)。
基本的な修飾キーは、HHKBのキーマップを直接変更するので、ここではデフォルトのまま。
IMEは「Google 日本語入力」にした
入力ソフト(IME)は非常に迷ったが、ひとまず「Google 日本語入力」を採用することに。
要件:
CapsLockキーでかな/英数のトグル切り替えができる
日本語でも常に半角スペースを打てる
この2つの要件を純正のIMEで実現するハードルは、意外にも高かった。
CapsLockキーでかな/英数のトグル切り替え
かな/英数切替については、「Karabiner-Elements」で設定してなんとか実現。
※Karabiner-Elements … キーイベントを変更するツール(後述)
日本語入力で常に半角スペースを入力する
Google 日本語入力では、アプリの設定からスペースの半角/全角を指定できる。
内蔵IMEで半角スペースを強制したい場合、Karabiner-Elements上の設定で「Shiftだけ押すとShift + スペースを押したことにする」という方法がある。しかしながら、日本語で変換時に、スペース連打で逆から選択されるようになってしまう、という弊害が出た。
本当は純正IMEを使いたいが…
Google 日本語入力は、変換候補の窓のデザインがイマイチ(なんかビミョーにぼやける、Macのデザインにマッチしない)なのと、メニューバーのアイコンが浮いていてダサいのが難点。
本当は純正IMEを使いたいが、上記2つの要件は個人的に必須だったので妥協。
Macのキー操作を快適にする必須ユーティリティ
HHKB以外のキーボードでも使えるので、その他ユーザーもぜひ参考にされたい。
「Karabiner-Elements」キーイベントカスタマイズの定番
Macのキーボード系ユーティリティを調べていると必ず出てくるのが「Karabiner-Elements」。キーイベントをカスマイズできるソフトウェアだ。
前述のHHKBキーマップ変更ツールと役割が被る部分があるが、Karabinerの方では複数キー押下時の動作変更など、より複雑な設定が可能。
基本的に設定は変えずに、Google日本語入力の[かな/英数]切り替え用途にのみ使用する。
{
"description": "CapsLock to eisuKana",
"manipulators": [
{
"conditions": [
{
"input_sources": [{ "language": "ja" }],
"type": "input_source_if"
}
],
"from": { "key_code": "caps_lock" },
"to": [{ "key_code": "japanese_eisuu" }],
"type": "basic"
},
{
"conditions": [
{
"input_sources": [{ "language": "ja" }],
"type": "input_source_unless"
}
],
"from": { "key_code": "caps_lock" },
"to": [{ "key_code": "japanese_kana" }],
"type": "basic"
}
]
}
CapsLockキー押下で、[かな/英数]がトグル方式で切り替わるようになる。
「BetterSnapTool」ウィンドウの配置をワンタッチで
マウス編でも紹介した「BetterSnapTool」は、ウィンドウの左右寄せ・最大化を可能にするツールだ。
AppStoreで税込300円で配布されている有料アプリ。
WindowsのWin + 矢印キーを再現すべく、同じ位置にあるCtrl +矢印キーを割当。
特に、マルチモニター環境では、モニターの境界方向へのドラッグ配置が効かないので、キー操作を多用する。
「AltTab」Macでも"AltTab"したい!
「AltTab」は、その名のとおり、Windowsにおけるウィンドウの切り替えAlt + Tabを再現するもの。
AltTab - Windows alt-tab on macOS
macOSにも、似たようなアプリケーション切り替えCmd + Tabが存在するが、こちらは同一アプリで複数ウィンドウを開いていたとしても、1つしか表示されない。対して、「AltTab」を使用した場合、ウィンドウ毎に別個に表示される。
また、Cmd + Wでウィンドウを閉じただけのアプリは除外されるという違いもある。
サムネイル画像を表示する機能もあるが、“画面収録”を使用している旨のプライバシーインジケータが毎回表示されてウザいのでオフにした。
まあ正直、使用頻度は低めなので、なくても良いかも。
「Clibor」クリップボード履歴を保存
クリップボード履歴や定型文を登録できる「Clibor」。Windowsでも愛用していたアプリだ。
デフォルトの呼び出し方法はCmdキーのダブルストロークが割当られている。3週間ほど使う間、コピペ(Cmd + C,Cmd + V)で誤爆することが何度かあったので、Windows純正のクリップボード履歴Win + Vと同じ位置Ctrl + Vへの変更を検討中。
その他検討中のショートカット
ここまで、結構大掛かりなカスタマイズをしてきた。
以下、改善の余地がある残課題を挙げる。
Home,Endキー
行の先頭,末尾に移動するWindowsのHome,Endキー。macOSではCmd + ←,Cmd + →で実現できる。最初こそ手癖でキーを押していたが、すぐに慣れたのでこのまま使い続ける予定。逆に、Windowsでの動作をCtrl + ←,Ctrl + →に変えたいかも。
無変換キー
カタカナへのダイレクト変換でよく使う無変換キー。Macユーザーの皆さんは、どうやってカタカナ出してるんですかね??
音量調節
音量調節。Windowsではキーマップの設定でFn + @(音量アップ)、Fn + /(音量ダウン)を割り当てていたので、Macも合わせたいかも。
操作を元に戻す
WindowsだとCtrl + Y。MacはCmd + Shift + Zなので、結構違和感。
アプリ終了
Macのアプリ終了Cmd + Qとウィンドウを閉じるCmd + WはWindowsとは異なるが、これはこれで便利。既に慣れているので、Windows側をMac風にカスタムしても良いかも。
まとめ:Win寄せ設定は結構たいへん
本記事では、Windows寄せで「HHKBをWindowsとMacで併用する」設定について見てきた。
キーボードの操作は非常に重要だが、その分快適さを求める設定は大変だった。
Macの流儀にも慣れつつ、今後もWindowsと併用していきたい。
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