本ページには広告リンクが含まれます

「Rokid Max」と「Apple Vision Pro」を映画鑑賞目的で比較-映像を見たいだけなら物理モニターを買え!

2024年8月9日

Apple Vision Pro・Rokid Max

日本でも発売されたApple Vision Proの購入理由として「映画鑑賞」を挙げる方も多いだろう。同じような目的で選択肢に上がるのが「Rokid」や「XREAL」などのメガネ型スマートグラスだ。

筆者も「Rokid Max」と「Apple Vision Pro」を入手し、実際に数ヶ月間使っている。

本記事では“動画視聴機としてのスマートグラスやApple Vision Pro”という観点で両者を比較する。

「メガネ型ディスプレイ」と「空間コンピュータ」

Rokid Max」を含むスマートグラスと「Apple Vision Pro」は、そもそも別カテゴリーの製品だ。

2024年現在、一般的に「スマートグラス」と呼ばれているもののの多くは、メガネ型の筐体に小型の有機ELパネルを内蔵している。プリズムで90°曲げられた光がレンズを通して目に投影され、視覚的には大きなスクリーンとなる。

基本的に本体に演算ユニットを内蔵しておらず、スマホ等を繋ぐ必要がある。「メガネ型ディスプレイ」と言えば分かりやすいだろう。

現実世界に情報を重ねて映し出すAR機能を備える製品も一部あるが、現在主流のRokidやXREALは単なるディスプレイに過ぎない。

他方Apple Vision Proは、現実とは別の空間に入るタイプのVRデバイスだ。

外側のカメラで撮影した環境に様々な処理が施された映像を、リアルタイムで映し出すことはできる。いわゆるパススルーだ。

本体にCPUとメモリ・ストレージを備え、それだけでコンピュータとして機能する。

AppleがApple Vision Proを「空間コンピュータ」と呼称するとおり、エンターテイメント消費からクリエイティブ作業まで、多種多様なタスクをこなせるのが特徴だ。

スマートグラスとApple Vision Proは、両者とも顔に固定することから同列に語られることも多いが、全く別カテゴリーの製品と言える。

ただ、実際にユーザーがそれらに求める“目的”は重なる部分も多い。なかでも、映画や動画といった映像鑑賞は、主な利用用途の一つだろう。

筆者個人としてもRokid MaxとApple Vision Proを映像視聴によく利用しており、以下では体験を基に両者の違いをレビューしていく。

<関連記事>
- Apple Vision ProのYouTubeアプリ決定版「Theater」が凄い!“持ち運べる映画館”はウソじゃない
-【不要論】Apple Vision Proはいらない?普及へのカギと流行るシナリオを未来予想
- Apple Vision Proの「重い/痛い」を軽減!ライトシーリングを外して使う追加バンドを試す

「Rokid Max」vs「Apple Vision Pro」5つの観点で比較

動画視聴デバイスとしてのRokid MaxとApple Vision Proを実利用下で比較する。

Rokid MaxApple Vision Pro
画質の良さフルHDレベルコンテンツに依存
画面サイズ程よい大きさ可変
音響イヤホン推奨空間オーディオが凄い
操作性接続先デバイスによる高精度のアイトラッキングとハンドジェスチャー
疲れ眼が疲れる物理的に顔が疲れる

画質の良さ

  • Rokid Max … ○
  • Apple Vision Pro … ◎

Rokid Maxのディスプレイ解像度はフルHD(1080P)となる。画面のドット感は無く、一般的なVOD視聴で困ることはない。多くの人が満足できる画質だ。

Rokid Maxは輝度を稼ぐことにより見せかけの画質を向上させている印象があり、眩しさを感じる場面もあった。

Apple Vision Proは片目4Kを超える解像度を実現しており、映像の品質は申し分なし。

ただ、コンテンツ側の画質が追いついてない場合も多く、ウィンドウを最大限引き伸ばした状態でフルHDの映像を見ると、少し物足りなさを感じた。

画面サイズ

  • Rokid Max … ○
  • Apple Vision Pro … ◎

Rokid Maxの画面サイズは、迫力がありつつも大きすぎない、絶妙な塩梅だ。

Apple Vision Proに関しては、ウィンドウサイズをジェスチャー操作で変更でき、自由に調整できる。

音響

  • Rokid Max … ×
  • Apple Vision Pro … ◎◎◎

Rokid Maxは、メガネのつるの部分にスピーカーを内蔵しているが、音質は正直イマイチ。イヤホンの接続が推奨。

Apple Vision Proの音響は圧倒的だ。Appleが培った空間オーディオ技術により、まさに物体がそこにあるような音が実現されている。AirPods Proと組み合わせると、なお良い。

例えば、ブラウザで動画を見ているとき、ページをスクロールすると音源との距離が変化する。言葉で表すのが難しいが、音響技術は本当に凄いので是非体験してみてほしい。

操作性

  • Rokid Max … (-)
  • Apple Vision Pro … ○

Rokid Maxの操作性は、接続先デバイスに依存する。

別売のAndroid TVキット「Rokid Station」は使いやすいのでおすすめ。

visionOSの操作は、アイトラッキングとハンドジェスチャーで行う。精度は抜群、かつUI面も工夫されていて非常に快適にコントロールできる。

文字の入力は難アリだが、コンテンツ消費が主な目的であれば特段問題ないだろう。

疲れ

  • Rokid Max … △
  • Apple Vision Pro … △

日常的にデバイスを使っていく上で、「疲れないこと」は重要だ。

筆者の個人的感想だが、Rokid MaxとApple Vision Proのどちらも、映画1本分≒1時間半くらいが快適に利用できる時間の限界だと感じた。

ただ、疲れの種類は異なる。Rokid Maxは眼が疲れるのに対して、Apple Vision Proは物理的に疲れるイメージ。

Rokid Maxの疲れ方を例えるなら、ディスプレイを長時間見続けた時に目がショボショボするような感覚。つるとノーズパッドが耳や鼻に触れることにより生じるメガネ特有の不快感がないわけではない。ただし、その点は普通のメガネと大差ないレベル。

目線の少し上側にディスプレイが来るので、自然な視線で映像を観れないのが疲れの一因となっている。

一方のApple Vision Proは、顔全体に圧が掛かり「苦しい」タイプの不快さだ。600グラムを超える本体重量が頭部前方に偏り、バランスが非常に悪い。また、顔に触れる面積が大きいため、より違和感を覚えやすいのも原因だろう。

頭部のヘッドバンドを含め布が当たる部分が痒くなってくるので、イマイチ映像に集中できない時が多い。

Apple Vision Proを購入前に懸念していた目の疲れに関しては、皆無と言って良い。好きな位置にウィンドウを移動できるので、自然な目線位置に映像を置ける。

もちろん感じ方は人それぞれだが、こと疲れなさという観点ではApple Vision Proの方がわずかに優位という印象だ。

<関連記事>
- Apple Vision Proの「重い/痛い」を軽減!ライトシーリングを外して使う追加バンドを試す

3D映画はApple Vision Proの特権!

従来型の映像を視聴するだけならば、ARグラスはApple Vision Proの代替となり得る。

けれども、3Dコンテンツに関しては別。

専用アプリでのVRサービスや、Apple TVやDisney+で配信されている3D映画の視聴は、Apple Vision Proならではと言える。

まだまだラインナップが乏しく、観たいものが必ずしもあるわけではない。未来のコンテンツを先取りするという意味では、価値ある体験だろう。

まとめ:筆者はApple Vision Proを使っている

「Rokid Max」と「Apple Vision Pro」の両方を持っている筆者だが、主に使っているのは「Apple Vision Pro」だ。

Apple Vision Proは物理的に重いといった問題点も多いが、なぜか“付けたくなる”魔力を秘めている。おそらく、操作性を含めたUXに優れ、一連の体験が素晴らしいものだから、だろう。もちろん高い買い物をしたという心理的な要素もあるかもしれないが、既に生活に定着し始めていることは確かだ。

一方のRokid Maxは、モノとしては上出来なのだが、購入後1ヶ月程度でわざわざ使うのが億劫になってしまった。

いずれにしても発展途上の製品群であり、物理モニターを置き換える完成度には至っていない。

結局どちらを買ったほうが良いの?という問いに対しては、「映画を見たいだけなら、良いテレビかプロジェクターを買え!」と答えるだろう。今はまだXR黎明期なのだ。

<関連記事>
- Apple Vision ProのYouTubeアプリ決定版「Theater」が凄い!“持ち運べる映画館”はウソじゃない
-【不要論】Apple Vision Proはいらない?普及へのカギと流行るシナリオを未来予想
- Apple Vision Proの「重い/痛い」を軽減!ライトシーリングを外して使う追加バンドを試す

  • この記事を書いた人

Tek-Next(管理人)

2021年よりパソコンやスマートフォン、ガジェットに関する記事を投稿。デジタル機器のレビュー/検証のほか、実地調査を含むセール・特価情報の発信で数百万人以上の訪問者を獲得。

-ガジェット
-, , , ,